区議会での発言

平成28年9月 第三回定例会 区長所信表明

はじめに

前川区長所信表明の様子前川区長所信表明の様子

 平成28年第三回練馬区議会定例会の開会に当たり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。

 先月末の台風10号により、犠牲となられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 ここで、社会福祉施設等における利用者の安全確保について申し上げます。  先般、神奈川県相模原市の「津久井やまゆり園」で、多くの障害者の尊い命が奪われる、許しがたい事件が起こりました。犠牲となられた方々に、心から哀悼の意を表しますとともに、いまだ心身に大きな傷を負われている皆様の一日も早い回復をお祈りいたします。  

 区では、事件発生の当日、障害者、高齢者等社会福祉施設に対し、防犯体制の再点検を行い、不安を感じている利用者・家族の問い合わせに十分かつ丁寧な説明を行うよう要請しました。日頃から各施設が、警察等関係機関との協力・連携体制を構築し、家族やボランティア、地域住民の皆様とともに、利用者の安全確保に努めるよう指導してまいります。

区政改革 ~練馬ならではの自治の創造をめざす~

 次に、区政改革についてです。

 「改革ねりま」を実現するため、昨年来、区政改革推進会議で議論を積み重ね、区政の重要課題に関するデータ集を公表するなど、区政改革計画の検討を精力的に進めてきました。この計画は、「みどりの風吹くまちビジョン」に掲げた政策を実現する仕組みや態勢を見直し、区民参加と協働を根幹に据えて、サービス向上と持続可能性の両立をめざすものであります。

 5月に、区政改革計画素案を公表し、6月以降、素案をもとに、練馬の未来を語る会などを開催し、多くの皆様からご意見を伺ってまいりました。現在、計画案を取りまとめているところであり、来月には、区議会にお示しし、議論をいただいたうえで成案化します。

 区政改革の内容は多岐にわたり、併せて関連する個別計画を策定する必要があります。なかでも、将来を見通した区立施設の維持・更新や管理のあり方は、重要な課題です。その基本的な取組方針を示した公共施設等総合管理計画素案を来月にも公表します。学校施設についても、そのなかで基本方針を明らかにする考えです。パブリックコメントなどにより区民の皆様のご意見を伺ったうえで、来年3月までに策定してまいります。

 私は、区長就任以来、開かれた区政をめざし、区民参加と協働を積極的に進めてまいりました。練馬の未来を語る会などのほか、様々な機会を捉え、地域で積極的に話し合いを行ってきました。生活実感に基づいた率直な意見交換ができたと考えています。今後は、更に議論を深めるため、区民お一人お一人とじっくり語り合える小集会を積み重ね、参加と協働をより実のあるものとし、練馬ならではの自治の創造をめざします。

ユニバーサルスポーツフェスティバルの開催 ~初の開催、今後、順次内容を充実~

 次に、ユニバーサルスポーツフェスティバルの開催についてです。

 練馬区にゆかりのある4人の選手が活躍された、リオデジャネイロオリンピックは、先月21日に閉会しました。

 明日7日にはパラリンピックが開幕し、お二人の練馬区民が出場されます。練馬区は、誰もが豊かなサービスを享受し、活動できる、ユニバーサルデザインのまちを実現することをめざしています。

 来月19日、区内のスポーツや障害者福祉の各団体、関係の皆様にご協力をいただき、初のユニバーサルスポーツフェスティバルを開催します。障害の有る方も無い方も、共に気軽にスポーツを楽しむきっかけとし、相互に理解を深めることを目的としています。ボッチャ、風船バレー、スポーツ吹き矢などの競技を実施するとともに、フェスティバル前夜に、リオ大会の車椅子マラソンに出場する副島正純氏をお招きし、講演をしていただきます。今回を第一弾として、今後、順次内容を充実させてまいります。

空き家等対策の推進 ~空き家等対策計画素案を策定~

 次に、空き家等の対策についてです。

 昨年度実施した空き家等実態調査では、空き家が1507棟あり、そのうち211棟は、特に老朽化が進んでいること、また、いわゆるごみ屋敷が30棟あることが明らかになりました。空き家の所有者を対象として、活用意向の有無や適正な管理が困難な事情も調査しました。

 昨年5月、空家等対策の推進に関する特別措置法が全面施行されています。この法律を的確に実行するため、今回の調査結果をもとに、空き家等対策計画素案を取りまとめました。ごみ屋敷対策についても、併せて対象としています。

 まず、倒壊の危険があるなど、周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている空き家については、特別措置法に基づく指導を強化します。指導に従わない場合は、同法に基づく勧告や命令、代執行を行います。差し迫った危険がある場合には、必要最小限の応急的な安全措置を講じます。また、空き家の発生抑制と適正な維持管理を促進するため、積極的な情報提供、相談体制の強化、所有者と活用希望者とのマッチングなどを進めます。

 ごみ屋敷対策については、所有者の同意のうえで、ごみの除去を支援するとともに、近隣への影響が著しい案件に対しては、代執行などの措置を可能にしていきます。環境、保健、福祉などの関連部門が連携して解決に取り組みます。

 空き家等対策計画素案は、実態調査の結果と併せて近く公表します。区民、区議会の皆様のご意見を伺いながら成案としたうえで、計画を実施するための条例を制定してまいります。

世界都市農業サミット ~都市農業の発展のために~

 次に、世界都市農業サミットについてです。

 東京オリンピック・パラリンピックの前年である2019年に、世界都市農業サミットを開催する予定です。

 練馬区には、都市生活と融合した生きた農業が存在しており、農業者が様々な工夫を凝らし、住民の暮らしと共存する都市農業の振興に積極的に取り組んでいます。

 世界都市農業サミットは、参加各都市が都市農業の意義と魅力を共有し、相互に学び、新たな取組を探ること、それにより都市農業の発展につなげることをねらいとしています。サミットを通じて、都市農業の文明史的意義を明らかにし、練馬区の農業者の誇りと意欲を高めたいと考えております。

 来月には推進委員会を設置し、サミットの内容について検討を進めます。現在、国内外の都市農業について調査を進めており、できるだけ早く具体的な参加都市を決定してまいります。

 区民、区議会の皆様からご意見をいただきながら、開催に向けて準備を進めます。

みどり施策の新たな展開 ~「みどりの区民会議」を開催~

 次に、みどり施策の新たな展開についてです。

 練馬区の魅力は、みどりの豊かさと都心に近い利便性が両立していることです。現在に受け継がれた貴重なみどりを守り、さらに増やし、未来につなげるために、より具体的、効果的なみどり施策を展開してまいります。

 多くの区民が練馬のみどりに愛着を持っている一方、落ち葉の処理や日照への影響などの課題もあります。公園や屋敷林など多様なみどりを、それぞれの特性を活かしながら、区民とともに守り育てていく区民参加の仕組みを作ることが必要です。

 様々な世代や立場の区民、地域活動団体、事業者の皆様とともに、みどりの管理のあり方、新しい協働の仕組みづくりを考える、「みどりの区民会議」を本年末から開催します。

 「練馬区みどりの基本計画」を、区民の実感やみどりの質という点から検証し、より充実したものとするため、7月に開催された練馬区緑化委員会に基本計画の改定を諮問いたしました。区民会議でいただいたご意見も踏まえ、平成29年度末に基本計画を改定してまいります。

ひとり親家庭への支援の取組の強化 ~自立支援策をパッケージ化して提供~

 次に、子育て期にあるひとり親家庭への支援についてです。

 様々な事情により、ひとり親家庭になる可能性は、誰にもあります。家計と子育てを一人で担うため、親の負担が大きいだけでなく、子どもの未来にも大きな影響を与えます。ひとり親家庭を支え、自立を実現するには、各家庭の努力だけでは限界があり、行政と地域が力を合わせることが必要です。

 この度、区として初めて、ひとり親家庭に関する調査を実施しました。多くの家庭では、家計、就労、子育てなど、日々の生活で複合的な問題を抱えていることが明らかになっています。家賃や教育費負担など生活の苦しさ、転職や資格取得の希望が非常に高いにもかかわらず叶えられていない現実、子どもの進学・学力や社会からの孤立感という大きな悩み、などが浮き彫りになりました。従来の区の縦割りによる相談支援体制では、このような課題に対応するうえで、限界があることも判明しています。

 私は、調査結果を踏まえ、現在の施策や支援体制を大きく見直し、自立支援策をパッケージ化して各家庭に提供する、「練馬区ひとり親家庭自立応援プロジェクト」を来年度から始動させます。

 「生活を応援」、「就労を応援」、「子育てを応援」の3つの施策を柱とし、総合的に組み合わせて提供してまいります。そのなかで、長期的なライフプラン設計への助言、希望の多い介護や医療分野に係わる資格取得の支援、ひとり親家庭の交流支援や子どもの居場所づくりなど、区独自の新たなサービスに取り組みます。

 組織の垣根を越えて施策を総合的に実施し、必要な家庭に確実にサービスを届けるため、ひとり親家庭支援の専管部署を新設して、総合相談窓口としての機能も担わせます。/p>

 こうした施策を着実に進め、ひとり親家庭の自立促進に取り組んでまいります。

認可保育所および区立幼稚園の保育料 ~税と受益者負担のバランスを見直す~

 次に、認可保育所および区立幼稚園の保育料についてです。

 私は、子育て施策を区政の最も重要な柱として位置付けてきました。練馬こども園やねりっこクラブの創設、子育てのひろばや一時預かりの拡大などに取り組むとともに、保育所の待機児童ゼロ作戦をスタートさせました。本来であれば、子育ての支援は、自治体の保育行政だけではなく、育児休業などの労働施策や児童手当などを含めた総合的な政策として国が取り組むべきものです。また、幼稚園を活用した、幼保一元化の実現も不可欠です。そのうえで、保護者の皆様が様々な子育ての形を選択できる社会をつくるべきである、と信じています。

 そのためには、ニーズに応じた多様な保育サービスの展開に加え、必要なコストについて、税と受益者負担のバランスを見直していくことが必要になります。

 現在、区の認可保育所の運営経費全体に占める保育料収入の割合は、23区で最も低い9.5パーセントにとどまっています。区内の認証保育所や練馬こども園と比べても、認可保育所の保育料は低廉です。また、私立幼稚園と区立幼稚園の保育料も保護者の負担に不均衡が生じています。

 先月末、認可保育所と区立幼稚園の保育料見直し案を区議会へお示ししました。低所得世帯に配慮し、保護者の負担能力に応じた案としています。近々、パブリックコメントを実施し、区民の皆様のご意見を伺ってまいります。

おわりに

 来月10日、練馬区独立70周年のプレイベントとして、石神井の森を背景とする舞台で、名誉区民で人間国宝の野村万作氏と、重要無形文化財総合指定保持者の梅若万三郎氏をはじめ、日本を代表する演者による「みどりの風 練馬薪能」を開催します。定員をはるかに上回る申し込みをいただいたため、立ち見の無料スペースや大型ビジョンを用意いたしました。豊かなみどりの中で、他に例を見ない格調高い公演が実現できることを誇りに思っています。この薪能をはじめとして、来年の独立70周年記念事業が、新しい時代を迎えるにふさわしいものとなるよう、区民の皆様と一緒に盛り上げていきたいと考えております。

 なお、本定例会には、決算議案、衆議院議員補欠選挙執行に要する経費の補正予算など、21件の議案を提案しております。また、現在、保育所待機児童ゼロ作戦に要する経費をはじめとする補正予算の編成を進めています。本定例会に追加して提案したいと考えておりますので、併せてよろしくご審議のほどお願いいたします。

 以上をもちまして、私の所信表明を終わります。