区議会での発言

平成26年11月 第四回定例会 区長所信表明

区政運営の新しいビジョン素案 〜「新しい成熟社会」に対応〜

前川区長所信表明の様子前川区長所信表明の様子

 平成26年第四回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営について所信を申し上げ、区議会並びに区民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと思います。

 今月22日の長野県北部の地震により被災された方々へ心からお見舞い申し上げます。

 はじめに、区政運営の新しいビジョン素案について申し上げます。

 この素案は、長期的な視点から練馬区の将来を見据えて施策の方向性を示す構想編、5か年のリーディングプロジェクトを明らかにする戦略計画編、構想や戦略計画の背景を示す白書編の3部で構成しております。

 なお、3か年の実施計画であるアクションプランの素案を、ビジョンに基づく施策の体系を示したうえで、来年2月を目途に策定いたします。

 構想編では、我が国がこれまでとは異なる「新しい成熟社会」を迎えており、従来のように成長の延長線上に将来を描くことのできない、モデルなき未知の時代に直面していることを基本認識としております。

 区政運営においても、前例踏襲や横並び意識は、意味を持たなくなります。地域特性を最大限に活かす知恵と工夫をこらし、都市基盤もサービスも、リアルな現実認識に基づいて、新しく生み出して行かなければならないとしております。

戦略計画の主な内容 〜時代に即した18の戦略計画を策定〜

 次に、戦略計画の柱に沿って、主な取り組みを申し上げます。

子どもの成長と子育ての総合的な支援

 第一の柱は、子どもの成長と子育ての総合的な支援です。

 仕事と生活のバランスがとれ、安心して子どもを産み育てられる環境を整え、子どもたちが健やかに成長できるよう教育の充実に取り組みます。

 子ども家庭支援センターでは、新たに(仮称)すくすくアドバイザーを配置して子育てに関する総合相談機能を強化し、「子育てのひろば」の開始時間を9時からとし、1時間早めます。さらに、乳幼児一時預かりの受入人数を、年間約2万5千人から約3万5千人へと増員します。また、区民ボランティアによる子ども一時預かりの拠点を、新たに区内4か所に開設することとしました。

 区独自の施策として「練馬こども園」を創設し、多様なニーズに応じて教育・保育サービスを選択できるようにします。私立幼稚園での長時間保育や夏休み期間中の利用を可能にし、主に2歳児までを対象とする認証保育所などとの提携により、小学校入学まで切れ目のないサービスが受けられる仕組みをつくります。

 学童クラブと学校応援団ひろばの事業運営を統合し、すべての小学生が安全かつ充実した放課後を過ごすことができる環境の整備を進めます。

 次代を担う子どもたちが、夢や目標をもち、困難を乗り越え、健やかに成長できるよう、学力の定着・向上、教員の育成、教育環境の整備などを進め、家庭や地域と力を合わせて、教育を充実します。

安心して生活できる福祉・医療の充実

 第二の柱は、安心して生活できる福祉・医療の充実です。

 だれもが住み慣れた地域で安心して生活できる、見守りと支え合いの体制や、高齢者一人ひとりにあった支援を受けられる仕組みを構築します。

 地域包括ケアシステムの確立を目指して、高齢者相談センターに新たに専門職員を配置し、高齢者一人ひとりの状態にあった医療と介護の連携を支援します。「街かどケアカフェ」を特に高齢者が多い地域に新設し、高齢者相談センターや保健相談所などと連携して、介護予防や健康相談などの事業を実施します。

 重症心身障害児者の家族の介護負担を軽減する事業を新たに開始し、重度障害者に対応したグループホームの整備を進めるなど、地域で暮らし続けられるための支援に取り組みます。

 順天堂練馬病院では、病床を90床増やし、救急医療や周産期センターを新設するなど医療機能を拡充し、狭隘で老朽化している練馬光が丘病院の改築を進めます。また、区西部地域に療養病床100床程度の病院を新たに整備します。これを契機に、病院や診療所、介護施設などの地域資源を活かし、在宅療養のネットワークを構築します。

 高齢者・障害者などが安心して暮らせるよう、地域における平常時の見守りと災害時の要援護者支援の体制を強化します。

安全・快適な都市の実現に向けた基盤整備

 第三の柱は、安全・快適な都市の実現に向けた基盤整備です。

 鉄道や道路の整備、木造住宅密集地域の改善など、都市基盤を強化し、みどりがさらに豊かで、安全・快適な住宅都市を目指して、着実にまちづくりを進めます。

 大江戸線の延伸を実現するため、国の交通政策審議会から整備に向けた答申を得るよう各方面に働きかけ、事業化に向けて、東京都と実務的な協議を進めます。新駅予定地周辺では、都市生活を支えるサービス施設の立地を促進し、良質な都市環境に資するまちづくりを具体化します。

 都市計画道路は、23区平均の整備率6割を目標として、西部地域を中心に整備を進めます。

 災害に強い安全なまちをつくるため、特定緊急輸送道路の沿道にある、対象建築物101棟すべてに対する働きかけを強め、耐震化を促進します。避難路を確保するため、都市計画道路や生活幹線道路の整備に併せて、無電柱化を進めます。

 江古田北部地区、北町地区で現在進めている密集住宅市街地整備促進事業を終了し、新たに一地区を選定します。貫井・富士見台地区と新たな一地区では、事業計画の合意形成を目指します。

 地域生活を支える駅周辺地区のまちづくりを進め、生活利便性を向上させていきます。

 また、練馬区の地域特性に相応しい自立分散型エネルギー社会の構築に向けて、エネルギービジョンを策定します。

練馬区の魅力を楽しめるまちづくり

 第四の柱は、練馬区の魅力を楽しめるまちづくりです。

 練馬区の魅力は、公園や農地などまちのみどりの豊かさと、都市生活の利便性が両立しているところにあります。その特色を活かして、さらに磨き、多彩な魅力を楽しめるまちづくりを進めます。

 人口が多く交通の利便性が高い、練馬区のポテンシャルを活かして、中小企業の活性化と、商店街の魅力づくりに取り組みます。創業への総合的な支援を充実し、産業見本市の開催などにより販路の拡大を促進します。意欲ある個店のチャレンジや、地域の特色ある取り組みを支援し、魅力ある商店街づくりを推進します。

 都市農業を振興するため、果樹の直売、摘み取りなどを行う「練馬果樹あるファーム」への支援、「練馬区農の学校」の開設による支え手の育成、商業等と連携した即売会「ねりマルシェ」などに取り組みます。また、農地の維持・保全のため、他の自治体と積極的に連携し、引き続き関係する法令や税制の見直しを国に働きかけます。

 公園、樹林地や街路樹等を結ぶ、みどりのネットワークを充実します。都市インフラの整備に際しては、より豊かで質の高いみどりを創出します。みどりが連続する美しい景観と安全の確保が両立する街並みを形成してまいります。

 「まち歩き」、自転車で散策する「ポタリング」を通して、風を感じながら巡るみどりのまち・練馬を体感できる仕組みをつくっていきます。

 練馬城址公園の整備に、にぎわいの拠点など区が求める機能が盛り込まれるよう、東京都に要請していきます。

新たな区政の創造

 第五の柱は、新たな区政の創造です。

 区政運営の新しいビジョンで明らかにした施策を着実に推進するため、区議会との緊密な連携のもと、次の3点を基本方針として、区政改革に取り組みます。

 第一に、リアルな行政需要に応え、区民生活の質をさらに向上させます。

 第二に、行政需要に的確かつ迅速に応える組織にします。そのために、組織を支える職員の意識改革を進めます。

 第三に、地域団体・民間企業等と力を合わせ、良質で効果的な公共サービスを提供します。

 なお、区政改革の具体的な取り組みは、平成27年度に明らかにします。

 我がまち練馬は、先人から受け継ぎ、未来の区民へ受け渡すべき大切な財産であります。私は、困難に直面しても怯むことなく、全力で取り組む決意です。「行政とは改革である」を原点に、新しい成熟都市・練馬の未来を切り拓いてまいります。

 今後、区議会の皆さま、区民の皆さまのご意見をいただきながら、今年度中に区政運営の新しいビジョンを策定し、直ちに取り組むべき事業は、平成27年度当初予算に反映してまいります。

震災時の初動期対応 〜「練馬区非常時優先業務実施方針」を新たに策定〜

 ここで、現在、取り組みを進めている3つの案件について、ご説明申し上げます。

 まず、震災時の初動期対応についてです。

 東日本大震災など、これまでの大規模災害の事例を顧みて、被災者の救命など、初動期の即応体制が極めて重要であると改めて痛感しました。

 「練馬区非常時優先業務実施方針」を、来年3月を目途に、新たに策定します。発災直後72時間においては、多くの困難が予想されます。私自身のリーダーシップの下、限られた人的・物的資源を重点的に投入し、区民の皆さまや関係機関と力を合わせて、危機に立ち向かってまいります。

 「被災者の救命・救出」、「被災者の生活支援」、「都市機能の維持」の3つの観点から、具体的な取組内容と役割分担を整理し、優先して行うべき業務の順位を明確にします。今後、実効性のある初動期訓練について、関係機関と協議を進めてまいります。

 なお、昨年改正された災害対策基本法等に対応し、より防災力を強化するため「練馬区地域防災計画」を修正いたします。

こどもの森の開園 〜立地環境を活かした個性ある公園づくり〜

 次に、こどもの森の開園についてです。

 来年4月の開園を目指して、現在、羽沢二丁目で準備を進めているこどもの森は、この地に自生していた樹林や原っぱが広がる自然豊かな場所です。この環境をそのまま活かして、木登りや虫採りなどの冒険遊びや自然体験ができる場とします。子どもたちが自由に遊べるようにするため、これまでの公園と異なり、「他人に迷惑をかけないこと」のみを利用のルールとして定めます。本定例会には、関連する条例案を提案しております。

 今後、立地環境を活かした個性ある公園づくりを進め、多様な楽しみ方ができるよう努めていきます。

 なお、(仮称)練馬総合運動場公園は、開設に向けて都市計画変更の手続きを進めてまいります。

外環の2の整備・西武新宿線の立体化 〜区民、区議会、区が一体となり国・東京都・鉄道事業者に要請〜

 次に、外環の2の整備および西武新宿線の立体化についてです。

 東京都は、本日、都市計画の変更を決定し、目白通りから青梅街道までの外環の2において、一部区間の幅員を22メートルとし、上石神井駅西側に5千百平方メートルの交通広場を設置することとしました。

 この変更は、交差する西武新宿線の立体化を前提としています。沿線の皆さまは、鉄道立体化の早期実現を強く望んでおります。年明けには、区民、区議会、区が一体となって、国や東京都、鉄道事業者に対し要請活動を行います。

 外環の2は、街路樹を充実し、広い歩道と自転車道を整備する計画となっております。これを契機として、今まで以上に道路が都市生活を支える良質な空間となるよう、道路整備の発想の転換を進めてまいります。

 なお、本定例会には、「練馬区組織条例の一部を改正する条例」など、これまで述べたものを含め30件の議案を提出しております。

 よろしくご審議のほどお願いいたします。

 以上をもって、私の発言を終わります。