区議会での発言

平成26年9月 第三回定例会 区長所信表明

はじめに

前川区長所信表明の様子前川区長所信表明の様子

 平成26年第三回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営について所信を申し上げ、区議会並びに区民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと思います。

 去る9月3日、練馬区議会議員山田哲丸氏が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、衷心よりご冥福をお祈りいたします。

 また、今般のいわゆる「平成26年8月豪雨」により、犠牲となられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆さまに心からお見舞いを申し上げます。

 区長に就任して以来、精力的に主要な課題の説明を受け、その現場を自分の目で確かめてまいりました。

 地域での防災訓練や行事などにも出席しました。区民の皆さまが、防災対策の強化やまちの活性化に努力されている姿を目の当たりにし、大変心強く感じた次第です。こうしたエネルギーを結集し、全区的な取り組みに深化、発展させていくことが、練馬区の未来を築くものと考えます。

 また、新たに「練馬の未来を語る会」を開催し、これまで、子育て、介護、農業の各分野で活躍されている方々との意見交換を積極的に行ってまいりました。

 リアルな行政需要は、地域の現場を践んで、様々な活動に携わっている方々をはじめ、広範な区民の皆さまと接し、区議会と連携して汲み上げていくものである、との確信を深めています。

 先の第二回区議会定例会で、執行体制を強化するための条例改正を可決していただきました。副区長を2名体制とし、新たに設けた参与の職に、行政に精通した2名を任命しました。区政の課題解決に向けた体制の構築も緒に就き、これからが本番であります。

区政運営の新しいビジョン 〜柔軟かつ大胆な発想で〜

 次に、区政運営の新しいビジョンについてです。

 「行政とは改革」であります。時代の転換期にあっては、旧来の考え方から脱し、未来を拓いていく気概を持たなければなりません。

 6月末にはビジョンの策定方針を定め、練馬区の現状と将来を示す白書、長期的な方向性を示す構想、向こう5か年の取り組みを示す戦略計画などからなる構成としました。

 このうち戦略計画は、区政運営の重要課題に取り組む具体策を明らかにする点で、ビジョンの中核となるものです。7月10日には、全庁に対し、従来の枠組みにとらわれず、制度や組織の壁を超えて検討を行うよう指示しました。

 将来の区政を担う若手職員によるワーキンググループも設置しました。参与や専門調査員の助言を受けながら検討を重ね、現在、組織横断的な課題に対する提案を取りまとめているところです。この提案も素材として活かしながら、12月の素案公表をめざし、急ピッチで策定作業を進めています。

 行政改革も、戦略計画の一分野として位置付け、総合的・体系的に取り組みます。規律ある行財政運営に徹しながらも、柔軟かつ大胆な発想に立って今後の方向を示してまいります。

 なお、ビジョンとの整合を保ちつつ、産業振興や障害者福祉など区政の分野別計画の策定を進めていきます。

子育て支援と子どもの安全・安心対策 〜ニーズを的確にとらえ早急に整備〜 すべての子どもたちを視野に入れた施策を

 次に、総合的な子育て支援の推進についてです。

 去る7月22日、第1回の「練馬の未来を語る会」で、大泉子ども家庭支援センターを訪れ、乳幼児を膝に抱えたお母さんたちと、車座になって話し合いました。子ども家庭支援センターが、子どもたちはもとより、親の交流の場としての機能を発揮していることを肌で感じました。

 保育所への入所だけでなく、幼稚園での1年を通じた預かり保育への希望や、一時保育の拡充など、様々な子育て支援のニーズを聴くことができました。

 区では、待機児童の解消をめざし、1,300人の定員増に取り組んでいます。今回改めて、多様な働き方や子育てに向けた思いに接し、保育所だけでなく、家庭や幼稚園、学童クラブなどを含め、すべての子どもたちを視野に入れた施策が必要であることを認識いたしました。

 その取り組みの一環として、既に教育委員会では、私立幼稚園協会との連絡会を立ち上げ、幼保一元化に向けた課題などについて、話し合いを行っています。広く関係団体と協議しながら、練馬区ならではの幼保一元化の制度設計を急いでまいります。

 一方で、国は平成27年度から「子ども・子育て支援新制度」を実施することとしております。本定例会には、保育事業の設備や運営に関する基準などについて、新制度との整合を確保するため、関連する条例の整備を提案しております。

 小学生の放課後対策では、夏休み居場所づくりのモデル事業を6校に拡充し、多くの児童の利用がありました。この成果を踏まえて、全児童を対象とした新たな放課後児童対策の検討を進めます。

 次に、子どもたちの安全・安心の確保についてです。

 昨年6月の区立小学校における下校時の事件を受け、民間警備員の学校派遣、小学校区単位での地域防犯防火連携組織の増設など安全対策に取り組んできました。

 この度、東京都の補助事業を活用し、小学校の通学路に防犯カメラを設置することとしました。本定例会において、補正予算を提案する予定です。

 また、子どもたちが犯罪から身を守る訓練も実施します。緊急避難の場所である「ひまわり110番」への駆け込み訓練を、PTAや警察署と連携して、モデル的に実施し、効果を検証してまいります。

新病院等の整備と在宅医療・介護の推進 〜本年4月から医師会と連携したコーディネート事業を開始〜

 次に、新病院等の整備と在宅医療・介護の推進についてです。

 急速に進む高齢社会にあって、住み慣れた地域で暮らし続けるためには、在宅医療・介護の推進が重要になります。介護の現場で働く専門スタッフとの「未来を語る会」においても、急性期から在宅医療・介護まで一連のサービス提供体制の充実が焦点となりました。在宅医療・介護を支える医師、看護師、薬剤師、ケアマネジャーをはじめとする様々な関係者の顔の見えるネットワークづくりが求められています。

 さらには、かかりつけ医と連携して在宅の患者を支える地域の病院の存在も重要です。現在、大泉学園町に療養型病院の整備を進めております。この病院は急性期病院を退院した患者を受入れ、回復期リハビリを実施し、在宅生活への橋渡しを行います。また、容態が変化した在宅の患者を受入れ、区西部地域における在宅療養を支える機能を発揮していきます。併設する介護老人保健施設においては、入所者に対する介護・看護・リハビリに加えて、通所・訪問リハビリも実施し、区民の在宅療養を支援します。

 本定例会において、関連用地の取得費用を補正予算として提案する予定です。

 多職種間のネットワークを有効に機能させるための新たな取り組みも進めています。医療、介護の関係者が一堂に会する、事例検討会を地域別に4回開催しました。関係者の意見を聞きながら継続的に実施してまいります。

 また、本年4月から医師会と連携して、かかりつけ医と区内11か所の後方支援病院などとのコーディネート事業を開始しました。毎月10人程度の在宅療養患者の方が、後方支援病院などに入院しており、今後とも医師会との協力関係を深めてまいります。

都市農業の振興 〜練馬区の発展に不可欠な存在〜

 次に、都市農業の振興についてです。

 都市農業は練馬を特徴づける大きな魅力です。四季ごとの旬の作物を供給するだけではなく、防災や環境、食育という多面的な役割を果たしています。意欲あふれる農業者や専門家と話し合いを重ねる中で、私は、練馬区の発展のためには、都市農業の存在が不可欠であると確信するに至りました。

 この夏訪ねた、ブルーベリー観光農園では、大勢の来場者が摘み取った新鮮な果実のおいしさに感動し、農業体験農園では、利用者が農家の指導のもとで作物を育てる喜びを実感していました。都市農業の可能性を示す、生きた事例であると思います。

 高松市民農園を廃止、改修し、来年3月「(仮称)練馬区農の学校」を開設いたします。農の学校は、受講生が土づくりから種まき、収穫後の処理までを学び、農業の基本的な技術を習得する場とします。高齢化などにより支え手を必要とする農業者にとって、修了生が大きな力となるよう取り組んでいきます。

 また、区民の皆さまが野菜を育て、収穫できる場を増やすため、高野台三丁目と高松一丁目に区民農園を設置することにしました。

 本定例会には、関連する条例の改正を提案しております。

 都市農業は、制度上多くの課題を抱えています。都市農地保全推進自治体協議会に加盟する都内38自治体で、課題解決の必要性を広くアピールするため、7月にフォーラム宣言を採択しました。近く、同協議会の会長として、関係省庁に、都市農業・都市農地に関する基本法の制定をはじめ、関係する法令や税制の見直し・改善を要請いたします。その実現に向けて全力を傾注してまいります。

練馬まつりとハーフマラソン 〜練馬こぶしハーフマラソンに名称決定〜

 次に、練馬まつりとハーフマラソンについてです。

 10月19日に開催する練馬まつりは、今年度からメイン会場を、としまえんに移しました。としまえんの知名度やアトラクションを活用して、これまで以上に、子どもからお年寄りまで幅広い世代が楽しめる催しにしてまいります。

 友好都市提携20周年を記念して、オーストラリアのイプスウィッチ市長がゲストとして参加し、区民の皆さまへのメッセージを披露していただく予定です。

 また、アニメカーニバルも同時期に開催することとし、練馬文化センターで大きな映像を楽しめるようにするなど内容を充実してまいります。

 来年3月29日に予定しているハーフマラソンについては、5月に大会名称を公募し、「練馬こぶしハーフマラソン」に決定いたしました。こぶしは、練馬区の木であり、「友情」「歓迎」という花言葉を持っています。

 ランナーは、5,000名を予定しており、11月から募集を始めます。大会当日は、花言葉にふさわしく、区内外から集まるランナーや応援の方々をおもてなしするイベントも開催します。

 本定例会において、テレビ中継をはじめ大会運営の充実に要する経費などを補正予算として提案する予定です。

 区民の皆さまのご理解とご協力をいただきながら運営に当たりますので、よろしくお願いいたします。

交通利便性の高いまちづくり 〜大江戸線延伸、外環の2、西武新宿線立体化など〜

 次に、交通利便性の高いまちづくりについてです。

 地下鉄大江戸線の延伸は、71万練馬区民の悲願であります。国は、本年4月、東京圏における今後の都市鉄道のあり方を、交通政策審議会に諮問しました。現在、審議会では、平成27年度中に答申をとりまとめる予定で検討が進められています。大江戸線延伸の実現には、この答申において、整備に向けた明確な位置付けを獲得することが必要となります。

 長年にわたる地元の皆さまの献身的なご協力により、地下鉄の導入空間である都市計画道路補助230号線は、笹目通りから大泉学園通りまで全線が事業化され、既に一部開通しました。また、土支田中央土地区画整理事業の工事も完了し、駅前広場の用地も確保しています。大江戸線延伸促進期成同盟などによる国や都への働きかけも続けてまいりました。

 こうした活動の実績を基に、延伸実現に向けた区の確固たる意志を鮮明にアピールしてまいります。また、国や都の関係当局との連絡調整を密にしながら、実現に向けた取り組みを着実に積み上げてまいります。

 大江戸線の延伸をはじめ、外環の2の整備、西武新宿線の立体化などを進めるため、8月1日に国土交通省出身の参与を新たに任命し、推進体制を強化いたしました。

 今後、区議会や区民の皆さまと一層連携を強め、交通利便性の高いまちづくりを推進してまいります。

 なお、本定例会には、決算議案のほか、これまで述べたものを含め、28件の議案を提案しております。また、現在、地元経済の活性化に要する経費をはじめとする補正予算の編成を進めています。本定例会に追加してご提案したいと考えておりますので、併せてよろしくご審議のほどお願いいたします。

 以上をもって、私の発言を終わります。