区議会での発言

平成26年6月 第二回定例会 区長所信表明

はじめに

前川区長所信表明の様子前川区長所信表明の様子

 平成26年第二回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営について所信を申し上げ、区議会並びに区民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと思います。

 私は、4月に実施された練馬区長選挙において、区政のかじ取りを担わせていただくこととなりました。区政運営の根幹は、区民福祉の増進という共通の目標に向かって、区議会と執行機関が、緊密な連携のもとに、深い信頼関係を築いていくところにあると考えています。本日ここに、71万区民を代表される練馬区議会の皆さま方に、所信を述べることができますことを真に光栄に存じます。

 あわせて、練馬区議会議員補欠選挙において、当選された新議員の方々にお祝いを申し上げます。

 練馬区は、昭和22年に板橋区から分離独立して以来、環境に恵まれ、利便性に富んだ都市として発展してきました。私は、志村豊志郎前区長をはじめ、先人の皆さまが積み上げてこられた成果を基盤に、新しい工夫をこらした政策を総合的に実施し、練馬区をさらに発展させてまいります。

 自らに課せられた責務を、厳粛に受けとめ、区民の負託にこたえうる区政の実現に、全力を尽くしてまいりたいと強く決意しております。

区政運営に臨む基本的考え方 〜リアルな行政需要の把握など4つの基本的考え方〜

 まず、区政運営に臨む基本的な考え方についてであります。

 第一は、「リアルな行政需要を把握すること」です。

 将来にわたり持続可能な区政運営を実現するには、先見性をもって、体系的・効率的に施策を実施することが必要です。区民の生活実態に即したリアルな行政需要を把握し、課題の構造や展望を明らかにしたうえで、戦略的に施策を展開してまいります。

 第二は、「新しい工夫をこらすこと」です。

 区政の課題は、多様化、複雑化の一途をたどっており、従来の手法からの脱却が求められています。柔軟な発想で既存の制度の壁を破るなど、工夫をこらして、困難な課題に取り組んでまいります。

 第三は、「地域の個性を活かすこと」です。

 私は、選挙を通じて、区内をくまなく歩き、地域によって環境や生活のありようが異なっていることを実感しました。練馬区全体の利益を基本におきながらも、地域の特性や資源を活かした施策を展開することが求められています。職員が現場に足を運び、実態を把握して、問題解決にあたる区政を実現してまいります。

 第四は、「区政の窓を大きく開き、外の風にあてること」です。

 これまで区の職員が職務に精励し、努力してきたことは十分に承知しています。しかしながら、その一方で、組織が、知らず知らずのうちに、内向きの閉じた運営になっているのではないかと危惧しています。外部からの人材の活用も図りながら、区政を活性化し、組織の力を引き出していきたいと考えております。

 また、区民の皆さまに、区政を知っていただき、ともに区政を考えていただくため、私が先頭に立ち、情報の発信と区民との意見交換に積極的に取り組んでまいります。

区政の主要課題 〜子育て支援、高齢者施策、防災対策、まちづくり〜

 次に、区政の主要課題についてであります。

 練馬区の人口は71万人を超え、近年は、交通網の充実により、区全体としては都心などへのアクセスも飛躍的に向上しました。練馬区は、今後とも発展を続けていくものと確信しております。

 その一方で、対応すべき課題も山積しております。

 本日は、区政の主要な課題に絞って、問題意識と取り組みの方向を述べさせていただきます。

子育ての支援

 はじめに、子育ての支援についてです。

 わが国は、少子化が、さらに次の世代の少子化を加速させるという、負のスパイラルに陥っています。にもかかわらず、保育需要が増大を続け、待機児童対策が大きな課題となっています。

 この問題に抜本的に対処するためには、家庭や幼稚園も含めた、すべての子どもたちを視野に入れることが必要です。

 引き続き、民間事業者の参入を促進し、効果的な待機児童対策を進めるとともに、子育て家庭への支援策を充実してまいります。

 すべての小学生を対象とした放課後対策も進めます。

 子どもにかかわる施策を教育委員会が一元的に所管していることは、練馬区の優れた特色であり、これを活かして、新しい取り組みに挑戦していきたいと考えています。長く議論されている幼保一元化についても、関係者の皆さまと話し合い、練馬区にふさわしい新しい仕組みを検討してまいります。

高齢者が安心して暮らせるために

 次に、高齢者施策についてです。

 練馬区では、今後、高齢化が急速に進み、10年後には、団塊の世代のすべてが、後期高齢者となり、介護をはじめとする様々なニーズが大きく膨張します。

 従来の高齢者施策をただ単に延長するだけでは、立ち行かなくなることは明らかです。高齢者の状況を正確に把握し、新たな取り組みを進める必要があります。

 現在、進められている社会保障制度改革では、高齢者が住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受け、地域全体で高齢者の生活を支えることが大きな方向として示されています。高齢者の生活の質を維持するためには、自宅や地域で暮らし続けることが、大切です。一人ひとりの状況に応じて、生活全般を支援する体制をつくることが欠かせません。区内医療機関、介護サービス事業者、関係団体の皆さまと連携し、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される仕組みを築きたいと考えています。

 こうした仕組みを有効に機能させるには、拠点となる高齢者施設の整備を進める必要があります。法の規制など乗り越えなければならない課題もありますが、公共施設や既存の住宅ストックの活用、まちづくりとの連携など、検討を進めてまいります。

災害から区民を守るために

 次に、防災対策についてです。

 練馬区は、武蔵野台地にあって地震には比較的強いと言われていますが、なお延焼の危険がある密集住宅市街地が存在しています。これらの地域では、道路拡幅や公園整備、耐火建築物への建て替えなどを引き続き推進してまいります。

 ゲリラ豪雨などにより水害が起こりやすい地域への対策は依然として重要であり、東京都と緊密に連携し、総合的な対策を強化していきます。

 また、災害による被害を軽減するためには、ソフト面の対策も着実に進めなければなりません。

 区は、日頃から、消防署、消防団、警察署、自衛隊と連携して災害対策に取り組んでいます。災害発生時には、これらの「公助」に加えて、自ら身を守る「自助」、地域で協力して災害に立ち向かう「共助」が重要です。

 本年4月に開設した防災学習センターを中心に防災リーダーを育成するとともに、多様で実践的な訓練の積み重ねにより、地域の防災力を向上させてまいります。

 要援護者の安否確認や避難支援の担い手の充実も急務となっており、様々な団体や人材が活動する仕組みづくりをさらに進めます。

みどり豊かで活力あるまちづくり

 次に、みどり豊かで、活力あるまちづくりについてです。

 練馬区の魅力は、公園や農地などまちの緑の豊かさと都市生活の利便性が両立しているところにあります。その特色を活かして、さらに磨き、発展させなければなりません。

 みどりの保全・創出のために、公園・緑地などの整備を計画的に進めます。また、農地や屋敷林の保全のため、引き続き関係自治体と力を合わせて、税制・法律の改正を国に働きかけます。

 特色ある商店街づくりや魅力的な都市農業の更なる振興に努めるとともに、練馬産業振興センターを拠点として、アニメ産業など中小企業の活性化を推進してまいります。

 練馬区のまちづくりを進めるうえで、都市インフラの整備が急務となっています。

 都市計画道路の整備率は、23区の平均を大きく下回っています。特に西部地域については、安全な市街地の形成と地域交通網の確保に加え、広域的な交通ネットワーク構築の観点からも着実に道路整備を進めます。

 また、地下鉄大江戸線の延伸や西武新宿線の立体化については、これまで取り組んできた沿線まちづくりを引き続き推進するとともに、新たな取り組みを工夫し、早期の事業化を目指してまいります。

区政運営の新しいビジョンづくり 〜区政を進める方向性を明らかにし、的確かつ迅速な問題解決のために〜

 次に、区政運営の新しいビジョンづくりについてです。

 区には、これまでに申し上げた主要課題以外にも、多くの重要な課題があります。たとえば、地域医療や障害者福祉などの充実、個性を伸ばす学校教育の推進、公共施設などインフラの更新、文化・スポーツの振興、環境問題への対応などが挙げられます。

 こうした課題を含め、区政を進める方向性を明らかにし、迅速、的確に問題を解決するため、練馬区の未来を見据えた新たなビジョンを今年度中に策定いたします。

 このビジョンでは、まず、区の各種データの分析に基づく実態把握と将来予測を行い、行政需要を見極めた上で、政策の基本的な方向を明らかにする方針です。制度や組織の壁を越えた戦略的な取り組みが必要な課題についても、果敢にチャレンジしていきます。

 ビジョンの検討にあたっては、若手の職員が中心になってアイディアを出し合う場を設けるなど、職員の知恵を引き出しながら取り組んでまいります。区民の皆さまの意見も幅広くお聴きしていく考えであります。

 区議会にご報告しながら検討を進めてまいりますので、ぜひともご意見を頂戴したいと考えております。

 本年12月を目途に素案をまとめ、平成27年度当初予算には、可能な限りその内容を反映してまいります。

区の執行体制の強化 〜副区長2人制の導入と事業部制の廃止〜

 次に、区の執行体制の強化についてです。

 時代の転換期にあって、組織の力を最大限に引き出し、様々な困難を乗り越えながら、区政を円滑かつ効率的に運営する必要があります。

 副区長を二人とし、トップマネジメントを強化します。現行の事業部制は、来年3月をもって廃止します。

 また、外部の人材を「参与」として登用します。参与は、区の新しい施策展開や課題解決の検討に加え、新しいビジョンづくりにも参画することになります。

 私は、職員の英知を結集し、区議会の皆さまのお力添えをいただきながら、区民の皆さまとともに、練馬区から全国に発信する新しい自治の創造に向けて全力を尽くします。

 なお、本定例会には、「練馬区副区長定数条例の一部を改正する条例」など21件の議案を提出しております。

 よろしくご審議のほどお願いいたします。

 以上をもって、私の発言を終わります。