令和2年 第二回定例会 所信表明

はじめに

令和2年第二回練馬区議会定例会の開会に当たり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。

新型コロナウイルス感染症について申し上げます。
昨日までに、区内の感染者は280人にのぼり、29人の方がお亡くなりになっています。深く哀悼の意を表するとともに、現在も療養されている皆様の1日も早い回復を祈念申し上げます。
医師、看護師など、今なお最前線で昼夜を問わず対応に当たられている医療従事者の皆様をはじめ、社会生活を支える現場で苦労を重ねている全ての皆様の献身的なご努力に、心から敬意を表し、感謝申し上げます。

区は、1月末以来、健康危機管理対策本部と「新型コロナウイルス感染症練馬区コールセンター」を立ち上げ、感染拡大の防止に取り組んできましたが、3月5日、区内初の感染者が確認されました。その後、国内の感染者が急増し、4月7日、国により、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令され、区は、法に基づく新型コロナウイルス感染症対策本部を設置して、全庁を挙げて感染拡大の防止に取り組んできました。5月に入って、国内及び都内の新規感染者数は減少傾向となり、国は25日、東京都を含む5都道県の宣言を解除しました。
欧米諸国で爆発的な感染が相次ぐなか、このところ、気を緩めることの出来ない動きを見せてはいますが、感染者、死亡率とも桁違いに少なく抑え込むことが出来ています。これは、厚生労働省の感染症専門家チームの優れた戦略、地方自治体の主体的で果敢な取組み、国民皆保険制度など充実した医療体制が功を奏したものと考えています。なかでも私は、強制力のない自粛要請の意義を理解し、真摯に協力する国民の姿勢、また、公衆衛生に対する意識の高さに深い感銘を覚えました。
こうした危機にあって、困窮に追い込まれ、最も苦しむのは、収入の道を断たれた区民や事業者の皆さんです。所得補償は、基本的に国の責務ですが、区はこの間、可能な対策を総動員し、支援に取り組んできました。
一方、感染された方々、医療従事者とそのご家族、社会の根幹を支えて活動している方々が心無い言動に苦しまれています。一部とはいえ、こうした偏見には、胸が痛みます。緊急事態にあってこそ、共感と思いやりを大事にする社会でありたい。心から願っています。
緊急事態宣言の解除を受け、都は、「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」を策定し、感染症防止と経済社会活動の両立を図りながら、新しい日常が定着した社会を実現するための取組みや手順をステップごとに示しました。
私たちは今、新たな段階に入りつつありますが、今月2日には「東京アラート」が発動されるなど、予断を許さない状況が続いています。更には、第2波、第3波も確実にやって来ます。
これまでの区民・事業者の皆様のご協力に、心から感謝申し上げるとともに、引き続き、手洗いの徹底、マスクの着用、「密閉」「密集」「密接」の回避などの対策を継続して頂くよう、改めてお願い申し上げます。

補正予算案

次に、令和2年度6月補正予算案についてです。
既に5月に、新型コロナウイルス感染症への緊急対応を取りまとめた補正予算を臨時会に提案し、全会一致で可決して頂きました。本定例会でも、補正予算案を提案しています。特別会計を含めた予算額は約14億5,000万円です。区民の命と健康を守るための取組みを更に強化・充実するとともに、再開されていく経済社会活動を支えるため、区として取り組むべき対策をとりまとめ、編成しました。

医療体制の確保と施設の感染予防等

次に、今回の補正予算案に計上した事業を含め、新型コロナウイルス感染症に対する区の取組みについて申し上げます。
まず、医療体制の確保と施設の感染予防等についてです。
練馬区医師会の協力のもと、先月8日、光が丘第七小学校跡施設に、ドライブスルー方式のPCR検査検体採取センターを開設しました。
患者を受け入れている医療機関に対し、治療に携わっている医師・看護師等の宿泊先確保や食事提供、特殊勤務手当支給、陰圧機用フィルターなど必要な設備整備費の補助を実施しています。
2月初旬には、区内各施設にマスクや消毒液の配付を開始しました。その後も、医療機関等に提供を続けています。
陽性患者・検体の搬送や入院費の全額公費負担を継続するため、予算を増額します。また、国民健康保険の加入者が罹患した際の休業補償として、傷病手当金を支給するため、本定例会に、国民健康保険条例の一部を改正する条例を提案しています。

経済対策

次に、経済対策についてです。
売上が減少している事業者に対する緊急対策として、3月に、区独自の特別貸付を開始しました。これまでに約2,300件、210億円の融資を受付済みです。また、日本政策金融公庫のマル経融資特例措置の金利50パーセントを補助しています。
他区に先駆け、4月27日に、生活相談コールセンターを設置しました。これまでに約3,900件の緊急小口資金等の特例貸付、約750件の住居確保給付金の支給を実施しています。住民票の写しや納税証明書など、これらの手続きに必要な証明書の手数料は無料にしています。
ひとり親家庭では、非正規就労が約6割を占め、休業や雇い止めなどにより大きな影響を受けることになります。区独自に、児童扶養手当受給世帯に5万円を支給するとともに、在宅勤務を応援するため、無料のホームヘルパーを派遣することにしました。
国の「特別定額給付金」を円滑に支給するため、5月7日に、専用コールセンターを設置しました。これまでに、約8万世帯に支給しています。国の「子育て世帯への臨時特別給付金」は、今月から支給します。
深刻な影響を受けている区内商店街に対し、プレミアム付き商品券事業への支援、感染予防に要する経費への補助を行うほか、イベントなどへの補助を充実します。

教育・子育て等

次に、教育・子育て等についてです。
区立小中学校は、3月2日から休業しましたが、6月1日から分散登校を開始しており、段階的に教育活動を再開していきます。休業中は、目標を持って学習できるよう様々な工夫を凝らしてきましたが、学習の遅れは否めません。児童生徒、教職員の負担に配慮しながら、夏季休業の短縮、土曜授業の増、行事の縮小や中止により、授業時間を確保します。
感染の再拡大などに備え、今年度中に全児童生徒がタブレットパソコンを1人1台使えるようにし、オンライン学習の仕組みをつくります。
保育所・学童クラブは、社会的な活動を継続するため、原則開園・開室としてきました。今月中は、可能な限り利用を控えて頂くようお願いし、引き続き、就労先事業所に対し、保護者の休業に配慮を求めるよう要請を行っています。また、保育料減免の特例措置などを実施しています。
区立小中学校、幼稚園、保育所、学童クラブには、消毒液や体温計の配備をさらに充実するとともに、私立幼稚園や私立保育所、民間学童クラブ等に、感染予防経費の補助を行います。民間学童クラブへは、一日保育実施に伴う運営費、登室自粛による保育料減収分を補助します。また、認可外保育施設の利用を自粛した保護者に対し、保育料を返還します。
妊婦の方々の感染を予防するため、通院時のタクシー利用等に活用できる「こども商品券」1万円分の配付を開始しました。例年、集団健診で実施している4か月児健診は、感染予防の観点から、今年度は個別健診に変更し、近隣の小児科で受けられるようにします。

高齢者・障害者等

次に、高齢者・障害者等についてです。
高齢者介護サービスや障害福祉サービスを提供している事業所は、こまめな消毒など感染防止対策を徹底し、緊急事態宣言発令中も事業を継続してきました。
特別支援学校や特別支援学級の休業による、「放課後等デイサービス事業」や電話等による代替的な支援の利用者負担に対して、補助を開始します。通所型施設では、感染リスクの心配から、在宅を余儀なくされている利用者に対して、電話や家庭訪問等により、健康管理や相談支援などを強化します。
緊急事態宣言発令中に、保育、介護、障害者サービスを提供し続けた、民間で運営している施設の従事者に、区独自の特別給付金を支給します。

区立施設・イベント

次に、区立施設・イベントについてです。
休止していた区立施設は、都のロードマップに示されたステップに従い、感染防止対策を徹底したうえで、必要に応じて入場制限、定員の制限などを実施しながら、順次再開しています。
区が主催するイベントはこれまで、延期・中止してきましたが、ステップ2で示された規模の範囲内で、必要に応じて開催します。「密閉」「密集」「密接」を回避する観点から、参加人数によっては、縮小や延期、中止の判断を行います。

庁内体制

次に、庁内体制についてです。
感染拡大に伴う国からの要請に応え、4月17日から5月末まで、在宅勤務の促進などにより、全体で5割の職員の出勤を抑制するなか、業務の集中する部門の体制を強化してきました。現在、保健所の感染症対策では、保健師の兼務等により20人体制を43人とし、特別定額給付金支給では、新たな課を設置し、人事異動や人材派遣の活用により155人体制としています。そのほか、中小企業向け融資、緊急小口資金貸付、住居確保給付金支給にあたる職員を増員しています。
密集による来庁者の感染を防止するため、妊娠届や産業融資あっせん申し込みなど、50を超える手続きを郵送で行えるようにしました。また、電子申請などでできる手続きを、ホームページで案内しています。

おわりに

中国・武漢で初めて確認された新型コロナウイルス感染症は、わずか2か月で5つの大陸に広がりました。695万人が感染し、少なくとも40万人が亡くなったと推計されています。
人類は感染症との闘いを幾度となく繰り返し、感染症は歴史を動かしてきました。天然痘はアステカ帝国・インカ帝国を滅ぼし、中世ヨーロッパで大流行したペストでは、人口の3分の1が犠牲になり、封建制度が崩壊し、中世は幕を閉じました。第一次世界大戦では、スペイン風邪が大流行し、4,000万人以上が死亡、終戦を早めました。現代のグローバル化した国際社会は、航空路線の発達などにより、短期間で変異を繰り返すウイルスが、瞬く間に全世界に拡散するリスクを抱えているのです。
世界は今まさに新型コロナウイルスとの闘いの只中にあり、しかも長期戦となることは確実です。巨額な負債を抱える我が国の財政が、今回の財政出動や経済活動の沈滞により、さらに悪化することは不可避です。我々練馬区も、大きな影響を受けることを覚悟しなければなりません。
新型コロナウイルス感染症の文明史的な意義も見極める必要があります。グローバル化した経済活動、社会生活にどのような影響を及ぼすのか、将来を見通し、行政の在り方を問い直す機会としなければなりません。
私は長い間、地方自治に携わり、多数の課題に取り組み、様々な危機に直面してきました。しかし今回のように、区・都・国・世界が根源的に揺さぶられる危機は初めて経験するものです。歴史の将来を見通し、行政として、的確な手立てを講じることが極めて困難になっていると実感しています。
そうしたなか、私たち基礎的自治体に今求められているのは、揺らぐこと無く、一人一人の生活に寄り添ったきめ細やかな支援という、本来の任務に、全力で取り組むことであると確信しています。もとより微力ではありますが、区議会の皆様、区民の皆様と手を携えて、与えられた使命を果たしたいと考えています。ご理解とご協力を重ねてお願い申し上げます。

なお、本定例会には、これまで述べたものを含め、練馬区特別区税条例等の一部を改正する条例など43件の議案を提出しております。
宜しくご審議のほど、お願いいたします。
以上をもちまして、私の所信表明を終わります。

区議会での発言アーカイブ