令和3年 第三回定例会 所信表明

はじめに

 令和3年第三回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。

 はじめに、7月の熱海市伊豆山地区における土石流災害、先月中旬の記録的な大雨による災害で、犠牲となられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の区内感染者は昨日までに1万6,526人にのぼり、87人の方がお亡くなりになっています。改めて、深く哀悼の意を表し、現在も療養されている皆様の一日も早い回復を祈念申し上げます。

 1月下旬、世界全体の新型コロナウイルス累計感染者は1億人でしたが、変異株が猛威を振るい、わずか半年で2億人に倍増し、これまでに450万人以上の方が亡くなられています。
 政府は、東京都に7月12日から8月22日までを期間とする、4度目の緊急事態宣言を発出しました。その後、対象は21都道府県となり、期間は9月12日まで延長されました。さらに昨日、政府は、宮城県、岡山県を除く19都道府県の緊急事態宣言を9月30日まで延長しました。
 7月下旬以降、都内の感染者は爆発的に増加しましたが、直近3週間では減少傾向となっています。しかし、今月8日時点の新規感染者週平均は約2,000人であり、依然として年明けのピーク時を上回る極めて高い値となっています。入院患者数及び重症患者数は、未だ高い水準にとどまっており、緊急を要する患者の救急搬送、入院受入れが困難な状況が続いています。
 区民の皆様には、引き続き、不要不急の外出は極力お控え頂き、マスクの着用、手洗いや消毒、密閉・密集・密接の回避など、基本的な感染防止対策の徹底をお願いいたします。
 区はこれまで、ワクチン接種の「練馬区モデル」、入院調整中を含めた自宅療養者への対応、困窮する区民・事業者の支援など、他に先駆けて、全力で独自の取組みを進めてきました。今後とも、最大限の努力を傾注していく覚悟ですが、区単独の取組みでは限界のある、医療提供体制の整備、自宅療養者支援、ワクチン配布、入院調整などについて、去る1日、東京都知事に対し、緊急要望書を提出したところです。

新型コロナウイルス感染症対策

 
補正予算案

 次に、令和3年度9月補正予算案についてです。感染拡大の防止と医療提供体制の充実、 困窮する区民・事業者の支援、デジタル化の推進、景気対策工事・物品購入など、緊急に取り組むべき対策を取りまとめ編成しました。
 今回の補正予算案に計上した事業を含め、新型コロナウイルス感染症に対する区の取組みについて申し上げます。

感染拡大の防止と医療提供体制の充実

1 ワクチン接種 
 区は、練馬区医師会の全面的協力を得て、「練馬区モデル」を構築しました。今では、これが全国の自治体で当然のものとして受け入れられています。
 主軸である約350か所の診療所での接種を、6月1日から本格的にスタートさせました。7月末からは、土日・夜間の接種体制を強化するため、東京海上日動火災保険株式会社の協力を得て、同社石神井スポーツセンターに大規模接種会場を設置しました。現在までに、高齢者の約90パーセントが2回目の接種を終えており、区民全体では約50パーセントとなっています。
 この間、国のワクチン供給が滞ったため、接種ペースを落とさざるを得ず、予約が困難な状況となり、区民の皆様には大変なご不便をおかけしました。これまで培ってきた関係を活かし、必要量を供給するよう、直接、都や国に求め、先月下旬から再開することができました。さらに、モデルナ社製ワクチンも確保しており、大規模接種会場での追加接種を近く実施します。また、妊婦の皆様は、感染すると重症化や早産のリスクが高いとされていることから、今月、優先接種を開始しました。
 現在のペースで区内の接種が進めば、11月中には、希望する区民の皆様全員が確実に接種を終えると見込んでいます。職域接種や都の大規模接種などの進行状況によっては、さらに早い時期に終了する見通しです。その後も引き続き、いつでも接種が受けられるよう体制を維持していきます。

2 保健所体制
 感染症対策の中心である保健所では、電話相談、陽性者への聞き取り、自宅療養者等の健康観察、入院・ホテル療養の調整・移送などの業務に追われ、職員は、土日も含めて夜間までの勤務を余儀なくされています。今年度から77人体制で運営してきましたが、庁内の応援に加え、保健師の兼務発令、人材派遣の活用により、現在は121人体制としています。
 7月下旬以降、感染者のほとんどが自宅療養等となっています。区は30歳以上の方、30歳未満で重症化リスクのある方に、パルスオキシメーターを貸与しています。体温や血中酸素飽和度を確認して、重症化兆候の早期探知に努め、高熱が続く方や、呼吸苦がある方には、往診や救急要請を行っています。

3 医療提供体制
 今月1日、自宅療養者等の医療提供体制を充実するため、地域医療担当部に自宅療養環境整備担当課を設置しました。練馬区医師会や練馬区薬剤師会と連携しながら、かかりつけ医や薬剤師による健康観察を新たに実施します。また、往診医、訪問看護師、訪問薬剤師が連携した医療提供体制を強化し、症状が悪化した際に速やかに医療につなげてまいります。酸素投与が必要となった場合の受け入れ先である、「(仮称)練馬区酸素ステーション」を光が丘第七小学校跡施設に早期開設すべく、区は都に働きかけ、実務的な協議を進めています。
 感染患者の入院受入れやコロナ外来を設置している医療機関に対し、引き続き区独自に、患者受入れ実績などに応じた支援を実施します。

困窮する区民・事業者への支援

 次に、困窮する区民・事業者の支援についてです。
 コロナ禍にあって、生活が困窮している方々が早期に自立するうえで、住居確保給付金や生活困窮者自立支援金は大きな役割を果たしています。この取組みを更に進め、住居確保給付金等の申請期間を延長するとともに、就職が決まった方に、区独自に就職支援給付金を支給します。
 売上が減少した事業者の資金繰りを支援するため、昨年3月から区独自の特別貸付を実施しており、4,000を超える事業者に、約370億円の融資を実行しています。返済時期を迎え、新たな資金需要や返済計画の組み直しに対応するため、本年5月から借り換え特別貸付を開始しました。これまでに167件、26億円の融資を受け付けています。引き続き、事業継続の下支えとなる資金繰りを支援します。
 区が支援する練馬区商店街連合会の30パーセントプレミアム付商品券販売には、募集枠に対し、倍近くの申し込みがあり、一昨日から利用されています。商店街等での消費を喚起し、キャッシュレス化を推進するため、区内対象店舗を利用した際に、20パーセントのポイント還元を実施します。12月のスタートに向けて準備を進めています。

教育・子育て施策

 次に、教育についてです。

区立学校の対応

 2学期が始まりました。児童・生徒の感染リスクを軽減するため、緊急事態宣言期間中は、授業を午前のみに短縮し、給食後に帰宅としています。登校できない児童・生徒に対しては、午後の時間帯にオンライン授業を行っています。また、学童クラブやひろば事業の時間枠を拡大して、子供たちの居場所を確保しています。
 中学校の修学旅行は、緊急事態宣言期間中の実施は見合わせることとしました。小学校の移動教室も同様に取り扱いますが、昨年度行けなかった6年生を優先し、5年生は今年度の実施を見送ります。

 次に、保育サービスの拡充についてです。

医療的ケア児の保育園入園に係る優先選考の実施

 医療的ケア児は、現在、区立直営8園の障害児枠で受け入れていますが、保護者の就労が困難なことから、入園しにくい実態があります。これを改善するため、8園に各園1人の医療的ケア児定員枠を設け、一般児童の前に選考を行う優先方式を導入します。
 来年4月入園の受付時から開始し、医療的ケア児が保育所に入園しやすい体制を整えます。

保育所のICT化推進

 園からのお知らせや連絡帳、アンケートなどのICT化については、既に多くの私立認可保育所で導入が進んでいますが、地域型保育施設や認証保育所への導入を更に促進します。区立保育所は、民間委託園で先行して導入を進めています。直営園では、国の情報セキュリティに関する方針により導入を見合わせていましたが、方針が改定されたことから、来年度、全園で導入するための準備を進めます。

高齢者施策

 次に、高齢者施策についてです。

もの忘れ検診の実施

 認知症を早期に発見・診断できるよう、医師会と連携して10月から、区内約140か所の医療機関で、「もの忘れ検診」を開始します。今月、対象となる70歳、75歳の方に、受診券やチェックリスト等を発送します。検査結果に応じて、地域包括支援センターが専門医療機関への受診や介護予防事業など、個々人に合った支援につなぎます。

介護予防・フレイル予防講座などの実施

 コロナ禍にあっても、高齢者が自宅で心身機能の維持に取り組めるよう、新たにリハビリ専門職を活用し、オンラインによる介護予防・フレイル予防の講座を開始します。また、高齢者がスマートフォンを使って行政サービス等を利用できるよう、都と連携し、はつらつセンターや敬老館でスマホ教室を実施します。

(仮称)高野台福祉園の整備

 旧高野台運動場用地に整備する高野台新病院は、工事が着実に進んでおり、4年8月の開院を予定しています。
 病院と併せて整備する「(仮称)高野台福祉園」は、4年10月の開設を目指し、本年11月に着工する予定です。定員は55人とし、医療的ケアの必要な重症心身障害者5人を受け入れます。また、介護する家族の高齢化により、ニーズの高まっている入浴サービスを実施します。

大泉学園町希望が丘公園の開園

 練馬のみどりを未来へつなぐため、特色ある公園づくりを進めています。
 大泉学園町希望が丘公園の第2期工事が完了します。300平方メートルの屋根付広場、遊戯広場、芝生広場などを整備し、既に利用を開始している多目的運動場やテニスコートなどと合わせ、2ヘクタールの公園として今月25日に全面オープンします。

都市農業施策

 都市農業の大きな魅力である新鮮な農産物を、より多くの区民の方に味わってもらえるよう、11月に、区役所アトリウムにコインロッカー式農産物販売機を設置します。運営は、農業者と障害者団体の協働により行います。
 このほかにも農福連携の取組みが進んでいます。先月、区内産アスパラガスの茎を利用したほうじ茶の販売が始まりました。乾燥、焙煎などを福祉作業所の利用者が担っています。引き続き、農福連携事業の推進に取り組みます。
 庭先直売所、区内産農産物を使用している飲食店、マルシェや商店街イベント等、区内の産業情報を発信するアプリ「(仮称)とれたてねりま」の開発を進めています。11月にリリースする予定です。

おわりに

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が閉幕しました。オリンピックではデンマークのホストタウンとなり、区内小学生がオンラインで選手団と交流を深めました。パラリンピックではエクアドルのホストタウンとなり、応援動画に出演した区内小学生が、聖火の採火を行いました。練習会場として提供した練馬総合運動場公園は、選手団の皆さんから、大変高い評価を頂きました。
 万全の感染対策と、選手団が宿泊した区内ホテルのきめ細やかで心のこもったおもてなしにより、ホストタウンとしての役割を全うできたものと考えています。
 デンマークのイェスパー・ハンセン選手は、オリンピックの射撃・男子スキート個人で銀メダルを獲得しました。パラリンピックでは、陸上女子砲丸投げ・知的障害で、エクアドルのポレス・メンデス選手が金メダル、アナイス・メンデス選手が銅メダル、陸上女子走り幅跳び・上肢障害で、キアラ・ロドリゲス選手が銅メダルを獲得しました。
 私も宿泊先ホテルや練習会場に赴き、選手団の皆さんを激励するとともに、メダリストの健闘を労いました。
 ホストタウンとしてお迎えした選手の皆さんが活躍されたことを、心から祝福したいと思います。

 前回の東京大会は、私が大学に入学した年でした。高度経済成長の只中にあった当時と比べ、我が国の社会経済状況は様変わりしました。世界で最も早く少子高齢化が進み、バブル経済崩壊後、永く経済が低迷しています。
 そこを今回のコロナが直撃したのです。世界的なパンデミックの影響や度重なる緊急事態宣言の発出などにより、日本経済の見通しには、未だ非常に厳しいものがあります。東京都も、感染症対策による大幅な歳出増、基金残高の激減、オリンピック・パラリンピックの経費負担増等の課題を抱えています。
 区財政も厳しい状態にあり、今年度当初予算で、基金と起債合わせて270億円以上を活用しています。区長就任以来、リーマンショック時の教訓をもとに、計画的に基金を積み立ててきたことにより賄えていますが、現在の状況が続くと、今後数年で基金は底をつき、起債残高も莫大な金額となるのではと懸念しています。大規模自然災害などにも備える必要があり、何としても持続可能な財政運営を堅持しなければなりません。

 私たちは今、新型コロナウイルスとの闘いの最中にあります。区民の皆様、練馬区医師会、練馬区歯科医師会、練馬区薬剤師会、医療機関などの皆様と力を合わせ、総力戦で挑まなければ、この危機を乗り越えることはできません。
 永い目で見れば、今回のコロナ禍は必ず克服できます。私たち基礎的自治体に今求められているのは、緊急時にあってこそ、右往左往することなく、感染防止と医療体制の充実、区民・事業者の支援、社会インフラの維持など各分野で、着実に歩を進めて行くことであると確信しています。
 地域や現場の声を聴きながら、奇を衒うことなく将来につながる施策を重点的・機動的に実施していく、コロナ禍にあっても、こうした私の区政に臨む姿勢が変わることはありません。
 区議会の皆様、区民の皆様と手を携えて、この難局を乗り越えるために、引き続き全力を尽くす決意です。ご理解、ご協力を宜しくお願いいたします。
 なお、本定例会には、決算議案のほか、これまで述べたものを含め21件の議案を提出しております。宜しくご審議のほど、お願いいたします。
 以上をもちまして、私の所信表明を終わります。

区議会での発言アーカイブ